
こんにちは。紅茶とお菓子研究家のジュディです。
「もしも急に倒れて緊急入院になったら、保証人や連絡先は誰に頼めばいいの?」
親族がなく、一人暮らしをしている50代、60代の方なら、このような不安を抱えていることでしょう。
健康に暮らしていると意識しない問題ですが、いざという時のために備えておくことで、大きな安心を得ることができます。
実は、身寄りがなくても入院できる仕組みは整っていますし、事前の準備で多くの問題は解決できます。

この記事では、おひとりさまが緊急入院になった時に直面する保証人問題について、具体的な対応策をご紹介します。
今日から始められる簡単な対策から、長期的な視点での準備まで、実践的なステップをお伝えします。
一歩ずつ備えることで、「もしも」の時の不安を軽減し、いつでも必要な医療を受けられる安心を手に入れましょう。
知っておきたい!入院時の保証人の役割と現実

まず、病院が入院時に保証人を求める理由と実際の状況について正しく理解しておきましょう。
病院が求める「保証人」とは何か?
入院時に病院が求める保証人には、主に二つの役割があります。
一つは「連帯保証人」として、患者が支払えなかった場合の医療費を保証する役割。もう一つは「身元保証人(身元引受人)」として、医療内容の説明を受けたり、緊急時の連絡先となったりする役割です。
多くの病院では入院申込書に保証人欄がありますが、これは病院が長年使ってきた慣行であり、法律上の明確な根拠はありません。
むしろ、厚生労働省は2019年に「身元保証人等がいないことをもって、入院等を拒否することは医師法に抵触する可能性がある」という通知を出しています。

つまり、身元保証人がいないという理由だけで、病院が入院を拒否することは本来できないのです。
この事実を知っておくだけでも、安心材料になるでしょう。
実際の緊急入院ではどうなる?
緊急時の入院では、意識がある場合は本人の情報提供だけで受け入れてもらえることがほとんどです。救急搬送された場合、保証人の有無よりも医療の必要性が優先されます。
ただし、入院が長期化したり、手術などの重要な医療行為が必要になったりすると、病院側は連絡できる人や同意を得られる人を求めるようになります。
これは、医療方針の相談や、万が一のことがあった際の対応のためです。
病院によっては、保証人がいない場合の代替措置として、「一定額の保証金を預ける」「医療費の支払い方法を明確にする」などの対応を取ることもあります。

事前に地域の病院の方針を知っておくことで、緊急時の混乱を減らせるでしょう。
友人に頼める範囲を知る
親族がいない場合、友人に保証人になってもらえないかと考える方もいるでしょう。友人に頼む場合、できることとできないことを明確にしておくことが大切です。
友人に頼みやすいのは「緊急連絡先」としての役割です。
ただし、連絡が入る時間帯や頻度、どんな場合に連絡が来るのかなど、事前に明確にしておくべきでしょう。

一方、「連帯保証人」として医療費の支払い保証を友人に頼むのは、多くの場合負担が大きすぎます。
もし友人に保証人を頼む場合は、医療費の支払い方法(保険や貯蓄など)を明確にした上で、実際の金銭的負担が生じないことを保証する文書を用意するなど、友人が安心できる仕組みを整えましょう。

緊急時の駆けつけや病状説明の聞き取りなど、どこまで対応できるかも友人と率直に話し合っておくことが重要です。
互いの負担を明確にすることで、長く続く信頼関係を築けます。
今日から始める!おひとりさまの入院対策3ステップ

今すぐ始められる具体的な対策を3つのステップでご紹介します。
ステップ1:エンディングノートの準備から始める
エンディングノートは、自分の情報や希望を記録しておくためのノートです。
市販のものを書店で購入するか、インターネットで無料のテンプレートをダウンロードして利用できます。
【特に記入しておきたい項目】
- 基本情報(氏名、生年月日、住所、連絡先など)
- 緊急連絡先(友人や知人の連絡先)
- 健康保険の情報(保険証の保管場所)
- かかりつけ医の情報
- 持病や服用中の薬の情報
- 医療に関する希望(延命治療の有無など)
- 財産情報(銀行口座、不動産など)とその管理方法
このノートを作成しておくことで、緊急時に医療機関が必要とする基本的な情報をまとめておくことができます。

財産情報を記載しておけば、入院費の支払いについても病院側に説明しやすくなります。
エンディングノートは常に目につきやすい場所に保管し、友人や知人にその存在を伝えておきましょう。

財布やスマートフォンにも「緊急時連絡先」カードを入れておくと安心です。
ステップ2:信頼できる親友との話し合い
一人で抱え込まず、信頼できる友人や知人と率直に話し合うことが大切です。
緊急時にどこまでの協力を頼めるか、具体的に相談しましょう。
【話し合いのポイント】
- 緊急連絡先になってもらえるか
- 入院した場合に駆けつけてもらえるか
- 医師からの説明を聞いてもらえるか
- 保証人になることは難しくても、他にどのようなサポートが可能か
お互いに助け合う関係であれば、「あなたも何かあったら私がサポートする」と伝えることで、お願いしやすくなるでしょう。
また、複数の友人に少しずつ役割を分担してもらうことも検討してください。

一人に負担が集中しないよう配慮することで、長続きする関係を築けます。
実際に話し合う際には、自分の状況と希望を整理したメモを用意し、冷静に相談することが大切です。
突然「保証人になって」と言われるより、「もしもの時のために相談したいことがある」と切り出す方が、受け入れてもらいやすいでしょう。
ステップ3:保証人不要の施設・病院を事前に調べる
お住まいの地域で、保証人が不要、または代替措置がある病院や施設を事前に調査しておきましょう。
【調査方法】
- 地域の病院のホームページを確認する
- 市区町村の福祉課や地域包括支援センターに相談する
- おひとりさま向けの相談窓口がある病院を探す
最近では、保証人がいない方への配慮として、以下のような代替措置を設けている病院もあります。
- 入院保証金制度(一定額を預けることで保証人を不要とする)
- 医療ソーシャルワーカーによるサポート体制
- NPOや社会福祉協議会と連携した支援制度
また、かかりつけの病院があれば、事前に「保証人がいない場合の対応」について相談しておくことも有効です。

日頃から通院していれば、緊急時にもスムーズな対応が期待できるでしょう。
地域によっては、おひとりさま向けの支援制度を設けている自治体もあります。

お住まいの市区町村の福祉課や地域包括支援センターに問い合わせてみることをお勧めします。
もしもの時に役立つ公的支援とサービス

個人的な対策だけでなく、利用できる公的制度やサービスについても知っておくと安心です。
成年後見制度の活用法
成年後見制度は、判断能力が不十分な方の権利や財産を守るための制度ですが、将来の不安に備えて事前に準備しておくことも可能です。
特に「任意後見制度」は、現在は判断能力がある方が、将来に備えて後見人となる人を自分で指定しておく制度です。
親族がいなくても、信頼できる弁護士や司法書士などの専門家と契約することができます。
【任意後見制度の流れ】
- 任意後見契約を公正証書で結ぶ
- 判断能力が低下した時点で、家庭裁判所に申立てをする
- 家庭裁判所が任意後見監督人を選任し、任意後見がスタート
この制度を利用することで、医療同意や入院手続きなどをサポートしてもらえるようになります。

ただし、専門家への報酬が必要なため、費用面も含めて検討することが大切です。
身元保証サービスについて知っておく
民間企業やNPO法人が提供する「身元保証サービス」も選択肢の一つです。
これは、契約に基づいて入院時の身元保証人や緊急連絡先となってくれるサービスです。
【主なサービス内容】
- 入院時の身元保証
- 入院中の見舞いや必要品の調達
- 医師からの説明の聞き取り
- 退院支援や転院先の調整
- 定期的な安否確認
ただし、サービス内容や費用は事業者によって大きく異なります。契約前には、以下の点を確認することが重要です。
- 料金体系(初期費用、月額費用、都度費用など)
- 対応可能な病院や施設の範囲
- 急な入院にも対応できるか
- 事業者の実績や信頼性
2023年からは厚生労働省により「高齢者等終身サポート事業者」のガイドラインが作成され、一定の質が確保された事業者が増えてきています。

自治体や地域包括支援センターに相談して、信頼できる事業者を紹介してもらうことも一つの方法です。
市区町村の高齢者支援サービス
多くの自治体では、おひとりさまの高齢者向けの支援サービスを提供しています。
- 見守りサービス(定期的な電話や訪問)
- 緊急通報システム(ボタン一つで消防署などに通報できる)
- 日常生活自立支援事業(福祉サービスの利用援助や金銭管理のサポート)
- 地域の民生委員による相談支援
これらのサービスは、緊急入院時にも連携して対応してくれる可能性があります。

お住まいの地域の支援サービスについては、市区町村の福祉課や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
また、2024年度からは、厚生労働省が「身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対応するための支援」として、全国10カ所でモデル事業を開始しています。

この事業では、入院時の身元保証や死後の手続き支援などをワンストップで行う仕組みが整備されつつあります。
今後、このようなサービスが全国に広がることが期待されています。
まとめ:安心のための一歩を踏み出そう

おひとりさまの緊急入院への備えは、一日にしてならずです。少しずつでも準備を進めることで、将来の不安を軽減していきましょう。

まず、エンディングノートの作成から始めてみてください。
自分の情報を整理するだけで、思わぬ気づきがあるかもしれません。
そして、信頼できる友人との率直な対話を通じて、互いにサポートし合える関係を築いていくことが大切です。
地域の保証人不要の病院や施設を調べておくことも、いざという時の安心につながります。
また、成年後見制度や身元保証サービス、自治体の支援サービスなどの仕組みを知っておくことで、選択肢を広げることができるでしょう。
こうした準備は「もしも」のためだけではありません。自分の生き方や希望を見つめ直す機会にもなります。

今日からできる小さな一歩を踏み出して、自分らしく安心して暮らせる環境を整えていきましょう。
おひとりさまだからこそ、自分で自分を守る知恵と準備が必要です。この記事が、そのきっかけとなれば幸いです。